大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

浦和地方裁判所 昭和48年(わ)974号 判決

本店所在地

埼玉県和光市本町二一番一八号

商号

有限会社三共電気商会

代表者氏名

代表取締役 井上敬三

本籍

東京都練馬区大泉学園町四二五の八番地

住居

右に同じ

職業

会社役員

井上敬三

昭和八年五月二五日生

法人税法違反被告事件

検察官

高橋武三出席

主文

被告人有限会社三共電気商会を罰金四〇〇万円に、被告人井上敬三を懲役四月に処する。

被告人井上敬三に対し、本裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人らの連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社三共電気商会は、埼玉県和光市本町二一番一八号に本店を置き、電気工事請負等を事業目的とする資本金三〇万円の有限会社、被告人井上敬三は、被告人会社の代表取締役として、その業務全般を総括しているものであるところ、被告人井上敬三は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、工事収入金額を圧縮記帳し、仕入れ材料費および外注工事工賃ならびに役員給与その他の経費を水増し計上するなどの行為により、所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和四四年八月一日から同四五年七月三一日までの事業年度において、被告人会社の実際所得金額が一九、七四三、七〇五円で、これに対する法人税額は六、九九三、〇〇〇円であるのにかかわらず、同四五年九月三〇日、浦和市常盤四丁目一一番一九号浦和税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五、三四二、七四三円で、これに対する法人税額は一、七〇〇、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額五、二九二、四〇〇円を免れ、

第二  昭和四五年八月一日から同四六年七月三一日までの事業年度において、被告人会社の実際所得金額が二七、七四九、二五二円で、これに対する法人税額は九、八四六、九〇〇円であるのにかかわらず、同四六年九月三〇日、前記浦和税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七、七三八、二三二円で、これに対する法人税額は二、四九二、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額七、三五四、一〇〇円を免れ、

第三  昭和四六年八月一日から同四七年七月三一日までの事業年度において、被告人会社の実際所得金額が一八、七三六、一七六円で、これに対する法人税額は六、四一五、〇〇〇円であるのにかかわらず、同四七年九月三〇日、前記浦和税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六、五六五、六三五円で、これに対する法人税額は一、九四二、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額四、四七二、八〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一、被告人井上敬三の当公判廷における供述

一、被告人井上敬三の検察官に対する供述調書(質問てん末書一三通添付)

一、被告人井上敬三作成の上申書(添付の明細書を含む)

一、被告人井上敬三および大根田昭共同作成の答申書九通(明細書、内訳書、調査書その他の添付書類を含む)

一、大根田昭の検察官に対する供述調書(質問てん末書四通添付)

一、大根田昭作成の答申書(添付の明細書を含む)

一、桜井昭夫の大藤事務官に対する質問てん末書

一、大藤事務官作成の証明書(添付の確定申告書三通、各明細書一七通、貸借対照表三通、損益計算書三通、損益金処分案三通、合計二九通を含む)

一、大藤事務官作成の

1  雑収入調査書

2  預金調査書

3  外注工賃調査書

4  減価償却費車両運搬具減価償却引当金調査書

一、登記官作成の登記簿謄本

一、押収にかかる決算関係資料二綴(昭和四八年押第二三六号の一)

(法令の適用)

被告人会社関係

判示各所為

各法人税法一六四条一項、一五九条一項該当

併合罪の処理

刑法四五条前段、四八条二項

被告人井上敬三関係

判示各所為

各法人税法一五九条一項該当

(所定刑中各懲役刑選択)

併合罪の処理

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情重い判示第二の罪の刑に法定加重)

執行猶予につき

同法二五条一項

被告人両名関係

訴訟費用の連帯負担

刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 中野保昭)

右は謄本である。

昭和四九年一一月二日

浦和地方裁判所

裁判所書記官 鈴木泰旨

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例